人は不幸な時にその理由を求めてしまうといいます。
ホロスコープを出して覗き込んだ時に、不運の原因を探り、なぜこんなことが起こるのか、何のために生まれてきた人生なのか、その問いを投げかけるものです。
占いをしている中で、辛いできごとを体験することに意味がある方がいるのではないかと思うようになりました。
太陽やMC、ドラゴンヘッドのサビアン度数の中にそれを見つけることができます。
牡牛座7度「先祖の井戸にいるサマリアの女」
新約聖書のヨハネによる福音書で、イエスがサマリア人の女性に井戸で水をのませてくれと頼みます。
サマリア人は不浄な存在とされていて、ユダヤ人はサマリアの町を通ってはならないし、サマリア人と付き合ってもならないと言われていました。
サマリア人の女性はユダヤ人であるイエスが、自分のような者の器を使って水を飲みたいということに驚きます。
このシンボルは「高度な創造力が最も低い者の中に降りてくること」「絶望的で、希望のないどん底の状況で、はじめて本当の高度な意識が目覚める」ということを示しています。
この度数を持つ方はいじめられた経験があったり、仕事や人生の局面で人から見下されたり惨めさを感じる経験をされている方が多いです。
しかし、目的は絶望の先の誰にも見出せない高度な光と出会うことなのです。
また見捨てられた側に自分を置くことによって、本物の愛を得ることもできます。
見た目が良かったり、お金を持っていたり、スペックの高い人にはたくさんの人が集まってきますが、その人自身を好きかはわかりません。
見た目の魅力が衰えたり、仕事を失った時に人が離れていくことも多いでしょう。しかし、何も持たない弱い人間であるにもかかわらず共にいてくれる人は本物です。
この度数を持つ方もまた、本質を見抜く力がある方が多いですね。
牡羊座28度 「予想が裏切られて演奏に失望する観衆」
失敗の度数と呼んでいます。この度数がMCにあり、それ以外の星やアスペクトが芸術や舞台に関する才能を示していた方がいました。
しかし、社会的到達点であるMCが失敗．．．
失敗することを目的に生きる人生なのか？とどのようにお伝えするか悩みました。
この度数は個人の能力や責任による失敗ではなく、周囲からのプレッシャーが引き金となって失敗を引き起こすというような環境によるもの、また社会情勢など時の運により損失を被るという意味合いが強いです。
そんな状況の中で分析をして、自己の能力を自覚することが重要なんですね。成功が目的なのではなく、自己発見が目的の人生と、クライアントの方にもお伝えしました。
皆さん、失敗や不幸を避けたくて占いに答えを求めるんですが、挫折しない順風満帆な生き方が全てではありません。むしろ「しくじり」の先に生きる目的があることも多いものです。苦難を恐れ過ぎないことも大切ですね。
山羊座22度「敗北を清く受け入れることで、将軍は、高貴な性格を明らかにする」
最近話題の(？)敗北の度数。また8月20日に冥王星が戻ってくる度数になります。
これが自分のホロスコープにあったら気落ちしてしまいそうですよね。
運勢を読む時には文字通り「敗北」として重要な事柄を行うのを避けますが、個人のホロスープにある際は別の読み方をします。
敗北を受け入れることにより、精神的に成長する。器の大きい包容力のある人物になれると読みます。
ですので、この度数を持っていたからといって落胆することなく、人間として成長することが目標の人生であり、尊い人になれる可能性を持っていると前向きに捉えて頂ければと思います。
牡羊座14度「男と女のそばでとぐろを巻く蛇」
嫌いな人や縁を切りたい人と中々離れることができない。思うように物事が進まなかったり、人間関係によって邪魔をされることが多いという度数です。
「支配」の度数であり、支配する、支配されるという関係の中で、他者との逃れられない程の強い絆を直感する、とあります。
私個人は「支配」は「自由」の招待状だと思っていますので、この度数のある方は支配の中で不自由を感じることによって、やがて誰よりも自由になれるのではと考えています。
光が際立つのは闇があるから
この他にも幾つかあるのですが、今まで鑑定した中で特に思い入れのある度数について紹介いたしました。
ホロスコープの中に「絶望」が組み込まれた人は、必ず意味があり、その先に得るものがあります。光が際立つのは闇があるからなんですね。
そして、意味のある「絶望」はそんなに長く続かないものです。
そういった度数が無いのに苦しみが続く人は、それはダミーの苦しみであり、その人のものではない可能性が高いです。
苦しんでいることにどんな意味があるのか、更にその苦しみは必要なのかを知るために、一度鑑定を受けることをお勧めいたします。
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